清水義範は昔からとても好きで、『グローイング・ダウン』には涙した僕なのだけど、『行儀よくしろ。 (ちくま新書)』を読んだときに「あぁ、老害」と思ってしまったわけ。なので買う前に少し悩んだんだけど「もう一度だけ信じてみる」という不幸になりがちな女のような心持ちで購入。
とても、良かった。
宗教論争になりそうなところやブンガク論になりそうなところからは巧妙に話を避け、実際的な部分に集中しているのが良いのだろう。あとはもちろん、書き方の文章自体を読ませようとしているので、単純に読んでいて小気味が良いわけ。
それから、ちょっとこういうこと書くのが恥ずかしいわけだけど、以前編集者だったころ、というか初めて編集部にバイトに行ったときに教えてもらった数々のことを、この本を読みながら思い出した。作っていたのはコンピュータ雑誌だったからというのもあるけれど、「雑誌の原稿はリズムなんだよ!リズム考えろ!」とか「文が長えんだよ!テンとか打ってるヒマがあったらマル打て!」とか「接続詞なんか使うのは10年早えよ!何か、文学書きてえのか?」とか「〜と思う、とか書くな!お前誰だ?あ?有名人なのかコラ!」とか、そんな感じ。あんまり守ってないんだけど(笑)。いやほら、わかってて破ってるからさ、ルール。接続詞に関していうと、そういえば森博嗣も、できるだけ接続詞を使わないようにしているとどこかで書いていたような覚えが。
読んで面白い、実作者の書いた、実践的な文章読本。本屋で手に取って、目次を見てピンと来たら買うべし。
- 作者: 清水義範
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/20
- メディア: 新書
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★★★★★:人にも勧めたい本