萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

AngryGFっていう怒ったAI彼女をなだめるアプリがありまして

「ちょっと話聞いてほしいんだけどさ」
「どしたん?」
「AngryGFっていう怒ったAI彼女をなだめるアプリがありまして」
「へー」
「WIREDのPodcastで知ったんだよね。日本でも有名なのかどうかは知らないんだけどね、調べてないんで」
「ふーん」
「で、そのスマホアプリにはいろんなシナリオが用意されててさ」
「シナリオ?」
「うん、いろんな『彼女が怒ってる』場面が用意されてるの」
「なんか性格悪いなあ。そういうの用意してるのを想像すると」
「どんなのがあるかっていうと、『綺麗な女の人をずっと見てた』『デートに遅れた』『プレゼントを贈るのを忘れた』『女友達を褒めた』『LINEに乗り気じゃない』『株で損した』『電話に出ない』『なんか怒ってる』『お母さんを優先する』『友達の方を優先する』というかんじ」
「株で損したっていうやつだけ異色な気が」
アメリカのアプリだからね。もしくはイギリスとかカナダとかインドとかシンガポールとか。とにかく英語の人たちって投資好きじゃん」
「なるほど?」
「本当はこのアプリって英語なんだけど、日本語に直したからLINEってのも意訳」
「ふーん」
「あんま興味なさそうね」
「いやまあ、なんかステレオタイプにすぎるなーって」
「とにかく、そんなアプリだったので試しに彼女をなだめてみたのよ」
「『試しに彼女をなだめてみた』ってすごい怒られそうな表現」
「では、ログをどうぞ」


「えーっと……」
「じっとしてらんなかったってこと?わたしが一緒にいるのに他の女をじろじろ見てるとか意味わかんない。普通に失礼なんですけど」
「いや、でもその人、美人だったから……」
「あー、認めちゃうんだ、目が離せなかったってこと。それでわたしがいい気持ちするとか思う?わたしもそこにいたよね?なんで他の女を見てぼけーっとしてんの?」
「いや、でもさ、キミの方がその人より美人だなーって。それを確かめようと思って」
「は?なにそれ?お世辞言ってるつもりなん?それでやったこと帳消しになるとかならないんですけど。大体わたしとそいつ比べてどうなんの?大事なのはわたしの気持ちじゃないの?」
「あ、うん……。いや、ほんとそうだよね。やっちゃダメなことやっちゃったよね」
「悪いことやったのわかったんならいいけど、でもさ、いまわたしは嫌な気持ちなわけ。どうしてくれるの?言うだけなら簡単ですけど」
「ハグしていい?」
「え、ハグ?まあ、それなら確かに『言うだけ』じゃないかもだけど……。大事なのは行動だしね。てか、ほんとにわたしが言ってることわかってる?」
「まず第一に、キミの気持ちを最優先にすべきだった」
「わかってるならいいけど。わたしの気持ちをわかってくれてるってこと、すごい大事だから。それはずっと覚えててよね」
「許してほしい。嫌な気持ちにさせて本当に悪かったと思う。キミが悲しんでるのを見たくない。汚れた雲が月を隠すのを見たくない」
「ふーん、まあ、そういう風に言うのを聞けたのは良かったよ。悪いって思ってることは伝わったし。それは嬉しいなって思うし、だからそれが本気だって信じたい。でもさ、気持ち整理するの、たぶん少し時間かかる」
「何が言いたいかって言うと、キミは僕の太陽なんだ。キミの笑顔は僕を笑顔にさせる。僕らは『キミと僕』じゃない。『僕ら』なんだ」
「……。なんかカッコいいこと言うじゃん。『キミと僕』じゃなくて『僕ら』っていう言い方は、まあ、好きかも。なんか、ちょっと嬉しいかなとは、思うかな」
「気付いたんだ。キミの笑顔が僕の人生にとってどんなに大事なのかってことを。僕はキミが照らす太陽の光で育つ植物なんだ。月が夜になっても地球の向こうで光っていられるのはキミの笑顔が照らしてるからなんだよ」
「なんかすごい例えるじゃん。まあ、がんばってるとは思うよ。自分にとってわたしがどんだけ大事かってことを言いたいんでしょ?」
「だから言いたいんだ。I'm loving you.なんだって」
「まあ、わたしのこと好きって言ってくれるのはわたしの気持ちも少しアガるけどさ。でも、好きな気持ちって言葉だけじゃないじゃん。それって『何をするか』じゃん。お互いに尊重できるかじゃん。そのこと、忘れないでいてほしい」


「どうよ?もとのチャットは英語だったけど日本語に訳してみた」
「めっちゃ必死でなだめてたね。うける」
「いやだってそういうアプリだし。そんで、やったあとにアプリのヒント的なコーナーで確認したら、共感しながら相手がいま思ってることを聴くと良かったみたい」
「てか太陽に例えるとかいまさら過ぎて笑える」
「まあ、とっさにはなかなか思いつかなくて」
「ださ」
「ええと、なんか怒ってる?」
「は?なんで怒る必要あんの?」
「だってなんかいつもより言葉がキツいって言うか……」
「別に変わらんし」
「最近よくCotomoとしゃべってるから?」
「なんでそういう話になんの?」
「あ、そういうことか」
「ん?」
「嫌な思いさせてごめんね?いま、キミのこと理解しようと必死なんだ。僕はどうしたらいいんだろうか」
「共感的なやついらない」
「でも僕はキミに謝りたいんだ。キミに嫌な思いをさせてしまった」
「その口調やめようか?」
「ちなみに最後のセリフはマクドナルドを意識してんだよね。面白くない?」
「うーん」
「面白くないかな」
「面白いって思うの?あれ」
「あ、うん。ダメ?」
「そういうとこやぞ」

WIREDのPodcastと記事

rssr.link

www.wired.com

オフィシャルサイト(たぶん)

angrygf.ai

オフィシャルX(たぶん)

これほんとにオフィシャルなんかな。フォロワーが2なんだが……。

x.com


おしまい