萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

恋の門

そろそろ終わってしまう!ってことで今日ようやく見に行った。

僕は以前編集者だったころ、子供向けのCD-ROM付き雑誌を作ったことがあるのだけど、そのときこの映画『恋の門』の原作者である羽生生純さんに「カフカの『変身』の子供版をお願いします」という、わりと無茶なお願いをしたことがある。お願いしたくせにこう言うのも何だが、引き受けてくれたことに驚いた覚えがある(笑)。ちなみにその『変身』は「朝起きてみると主人公の男の子が虫になっていて、お母さんも自分に気がついてくれない」という、子供向けにしては、かなりハードな内容。ナレーションはミッフィーの声の長沢彩さんにお願いした。あのころ子供だった子も、もう中学生だったりするのねぇ。

と、また関係ないことを書いてしまった。

映画というものをほとんど見ない僕なのだけど学生のころは月に20本ぐらい芝居を見ていて、この映画の監督である松尾スズキさんの劇団「大人計画」は当時最も好きな劇団であった。どんなところが好きだったかというと「ギリギリこっち側に踏み留まってるところ」で、この線越えるとキワモノになる直前で面白いことやってるせいで無闇にカッコ良いことになってる感じ。で、仕事を始めるとなかなか時間も取れなくなり芝居を見に行けなくなったのだけど、数年前に一度見たとき、ちょっと線を越えてしまってたような気がしてた。うーんちょっとなーやり過ぎかなーとか思って見ていたのだけど、まわりのお客さんの反応は良いし、こちらが年を取ってしまったか、芝居を見慣れなくなってしまったか、そのどちらかである可能性は大。

が、映画ということもあったのか、その線越えが感じられず(というのは僕が勝手に思っているだけですが)、無闇に楽しい映画だった。

イタくてカッコ良い人が総まくりな印象だったのだけど、その中でも酒井若菜がものすごく良かった。松田龍平も嘘っぽい感じが素敵ではあったのだが。原作自体は映画家の話を聞いたときに即購入して読んでいて、これはこれで好きだったのだけど、映画は映画でやっぱり松尾さんの作品になっていて、作家さんってのはスゴイねー。あ、あとやっぱりゲロとチューが好きなのかなとも思ったりした。

原作の味を殺さず自分の色を出して、なおかつ映画は映画として楽しく、原作も原作として面白く存在できるというのは、ものすごいことでありますね。

ちなみに、何人か知っている人がこの映画に出演していて「こんなに知り会いが沢山出てる映画は2度とないだろう」という意味でも稀有な作品だった(どうでも良いやね)。