萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

ベネチアの夜

しりあがり寿さんとかとベネチアに来ています。以下の動画などを参照。

で、体質なのか仕事の仕方が下手ってことなのか、完全に休む日を作ることが苦手な僕は、ベネチアに来てもなんとなく仕事してたりするんですが、昨日、仕事するためにみんなとの食事を先に抜けてホテルまで歩いて帰りました。

が、ベネチアは道が狭いせいかいまいち電波が入らず、GPSが使えない状態になってしまったんですね。

レストランに行くときはみんなの後ろをついて行ってたので、うっすらとしか記憶がありません。でも何となく記憶を辿りながら歩いてたら、どう考えても見た覚えのない道に。

初めて来た国で道に迷うと心細いですね。特に夜なんかは。

「なんでベネチアには交番がねえんだよ。KOBANは国際語じゃなかったのかよ」とか思いながら、でも人に道を聞くと悪い人にどこか連れて行かれるかもしれないし、余裕の表情を浮かべながらずんずん先に進んでいくしかありません。道を引き返すときも「おっとこっちじゃなかった」的な演技を過剰にならない程度に加えます。

そうやって歩いていて曲がった路地は、レストランか何かの裏口のようでした。目付きの悪いウエイター風のお兄さんと、同じく目付きの悪いコックさん風のお兄さんが僕を見ています。怖いです。でも引き返すわけには行きません。なぜなら怖さのあまり引き返すには不自然な距離をもう進んでしまっていたからです。道の先は暗がりになっています。進んでいいんでしょうか。でも進むしかありません。僕はいつもより少し胸を張って歩きました。鼓動が高鳴ります。ふたりのお兄さんは僕を見ています。僕はもちろんお兄さんたちを見ません。ずんずん歩きます。平気な顔して歩きます。ふたりの前を通り過ぎる瞬間、ちょっとだけフワリとしました。

「おいそこのジャポネ」

などと話しかけられることもなく通り過ぎることに成功しました。背後に神経を集中しながら進みます。

次の角ですぐに曲がり、少し広いところに出て、立ち止まらないようにしながらGPSがつながるのを祈りました。

ようやく表示された地図を見ると、なんだか全然違うところにいます。運河の逆側です。

たびたび使えなくなるGPSに文句を言いながら部屋に着いたときは、本来の5倍くらいの時間がかかってしまっていたのでした。

GPSに頼りすぎるのは考えものですね。