いままで何冊か読んだ和田本の中では、一番良かったと思う。恐らくそれは、専門分野に近いフィールドのことを書いているせいで力技な展開が少なかったせいと(たぶん)、どうやら対象読者の知識レベルが他の本より高く設定されているらしくて煽るような口調が少なかった(ような気がする)せい。
で。
嫉妬には、ふたつありますよと。他人の足を引っ張るタイプの嫉妬である「エンビー」と、他人に負けて悔しいから自分を磨こうとする「ジェラシー」。でこのふたつは生来のものというよりは、状況によって作られるものでありますよと。このふたつの嫉妬に対して、和田秀樹お得意のメランコ人間シゾフレ人間の話が重ねられて進むわけです。前半はきちんと「生来のものではない」という話に乗っていたのに後半で結局メランコ&ジェラシーなタイプが偉い的ニュアンスになったりしていて、そこがちと残念。でも、読みながら、「なるほどね」と何度も言ってしまったよ。
ちなみににこのジェラシー、『韓国は一個の哲学である―「理」と「気」の社会システム (講談社現代新書)』で説明されていた「恨(ハン)」の感情とちょっと近いのかもしれないね。だから何だった話だけど。
- 作者: 和田秀樹
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 単行本
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