萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

『冷たい校舎の時は止まる』

メフィスト賞受賞作は全部購入することにしている。もともと野間家の家来かと思うほど講談社の本ばかり買ってるというのも理由のひとつではある。ブルーバックス好きだし現代新書好きだし講談社ノベルス好きだし。でもやっぱり大きな理由は、新しい面白さに触れられること(清涼院流水とか舞城王太郎とか)、普通だったら買わない本に触れられること(西尾維新とか新堂冬樹とか)、世間的には面白いらしいが自分的には全然面白くない本を読むハメになること(高里椎奈とか津村巧とか浅暮三文とか小路幸也とか)、そんな感じ。

で、この本である。忙しかったのと3ヶ月分冊だったので出てすぐに買うことができず、さっき奥付を見たら2刷だった。もう増刷してるね、エライ。

雪の振る寒い日に学校に来てみたら閉じ込められてしまい、どうしても思い出せない、数ヶ月前に自殺したクラスメートの名前を思い出そうと苦しむ。で、ひとりづつ・・・。『11人いる! (小学館文庫)』と『バトル・ロワイアル』を足して、えーと、何で割ろう。

以下、ネタバレ。謎的な部分についてもバラすほどネタバレ。あ、ネタバレの前にリンクだけ張っておこう。

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)

冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)

★★★★★:人にも勧めたい本


切なさ加減としては『バトル・ロワイアル』と多少似ている気がして、で、ひとりづつマネキン人形になるところは結構怖くて良かった。

のだけど、ミステリとしては壊れてるよねたぶん。基本的に僕は脳ネタがあまり好きではなくて、というのも何でもできるからなんだけど(ちなみに東野圭吾は最初に読んだのが『変身 (講談社文庫)』だったせいで長いこと他の小説に手を出さなかった)、この『冷たい・・・』も鷹野と榊の関係とか、7人しか写ってない写真を早々に退場させたところとか、「全部妄想でした」と言えば済むのかオイコラと、そう言いたくはある。死んだのが春子って。あーあ、そういうことかよと。あと長いしね、本編に入るまでが。キャラをわからせるためなのだろうが、その部分はウザかったというか、その部分じゃ覚えられませんでした、登場人物。

なのだけど、面白かったんだよねー。そういう壊れたところは認めつつ、怒られるの承知で女子っぽい話だなーと思いつつ。なんか自分の学生時代とか思い出して切ない気分になったりね。『バトル・ロワイヤル』も切ない気分になる話だったけれど、あれはエンディングがちょっとアレだし、「生徒同士を戦わせる」というネタが強烈過ぎて、切なさが多少かすれてる気がする。

あと、3ヶ月分冊、単に営業的な戦略かと思ってたけど、ヒロ=鷹野博嗣、みーちゃん=辻村深月ってところを忘れさせる作戦なのかなと。

そういえば、作者である辻村深月が登場人物として出てくるが、これは効果ゼロでしょう。というか、失礼ながらそんな美人でもないし、そういう意味では、逆効果でしょう。プロなら、そのぐらいは、考えて欲しいやなあ。

と、文句ばかり書くのだけど、面白かったのでまた読もう。次の本が出たら買うよ、たぶん。