続いて本。
岡田正彦/人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)
あっさりリバウンドしてしまったのでリリバウンド(もう一度リバウンド前の体重に戻すこと。いま作った)しようと思って図書館で借りてざっと読んでみた。僕って権威に弱いので(笑)、こういう医者が書いたとか、岩波新書だとか、そういうのだと良いと思って。タバコやめれたのも、医者が書いたちゃんとした本(と僕が思った本)を読んだからだと思うし。
で、内容は、かなり良い。ほとんど忘れたけど(おい)。男子は甘いもので、女子は脂肪分で、それぞれ太ることが多いとか、コレステロールは単体だと実はそれほど問題ないけれど脂肪と結びつくと恐しいとか、やっぱり3食食べた方が血糖値が急に変わらなくて良いとか、いろいろ、いろいろ。一番びっくりしたのは、本文中で触れてあった、ジョギングというものを世界に紹介した人が、実はジョギング中に亡くなったという話。みなさんも気をつけましょう。無理な運動は、しないように。
忙しいのがひと段落したらリリバウンドする予定なので、そのときに再度借りるか買うかする予定。
ステファノ・フォン ロー/小さい“つ”が消えた日
登場人物の語りから物語は始まる。自分が子供のころに聞いた話をしてあげようと。
文字たちが住む村がある。その村にはいろんな文字がいる。たとえば「あ」さんは、いつも自分が最初に来るから、ちょっといばりんぼう、とか。でも小さな「っ」は、何も音が出ないから、「お前なんかいてもいなくても意味ないよ」的に、いじめられている。ある日「っ」は、悲しくなって旅に出る。そのせいで、人間は「っ」という文字が使えなく困ってしまう。
本も薄く、↑のような話なので、きっとチーズはどこへ消えた?の後、ものすごく増えた童話の形を借りた啓発ビジネス書かと思って読んでたんですわ。それはそれで「けっ」って感じではあるけれど、まあたまにはこういうのも読んでみるかと。
そしたら、単に「っ」がなくて困ってたけど、みんなでいままでのことを謝って「っ」を呼び戻したら、ちゃんと言葉が使えるようになりましたとさ的な、普通に、そういう風に終わるのね。「え?そんだけ?」ですよ。ズッコケましたよ。ズッコケって言葉を使うの何年ぶりかも忘れたけれど、それも気にならないぐらいズッコケましたよ。
うーん、なんなんだこの本は。大人も読める素敵な絵本か?それにしちゃ、文字多いしな。いっそ普通に子供向けの絵本で良かったような気がするし。
あと、著者が外国の人だってのも、なんか先入観を増強したね。「っ」の話になってるのは翻訳(超訳)の時点での話かと思ってたら、単に著者が日本語を勉強したことがあり、日本語で物語を書いてみたかったと。なんだそりゃ。
下手なミステリより驚いた本。あ、でもネタバレだね、この感想。ごめん。
岩合光昭/ネコを撮る (朝日新書 33)
最近は職場環境の事情で利用していないけれど、数年間利用してた「のら猫カレンダー」の岩合さんの本。本屋で見かけて、冒頭に素敵ネコ写真が何枚かあったので衝動買い。
以前のら猫の写真撮るの好きだったので読んだわけだけど、カメラ自体には全然興味ないので、「へえ、こういうこと考えて写真撮るのか」とか、いろいろ新鮮だった。別にだからといって、僕が今後も構図とか考えたりすることはないけれど。
冒頭だけじゃなく、白黒だけど、本文中にも良いネコ写真が満載。こういう状況で撮った的な話と一緒に見れるにで、これもまた良し。
ただ、最後の章、ネコ科の動物ってことでライオンとかの話になったけど、ごめん、そこは興味ない。
かわいしのぶ/回文堂 (新潮文庫)
先日対バンしてもらった、パンチの効いたブルースのかわいしのぶさんは文才もあるのだ。ベースマガジンとかでも連載持ってる人なので、会う前から、お名前は伺ったことがあったわけであります。
で、そのかわいさんが脱力な回文を脱力なイラストと共に綴るのがこの本。興味あったけどなかなか読む機会に恵まれず、気がついたら絶版になっていて中古で買ってしまい、かわいさんのところにお金が回らないという、ちょっと失礼なことをしてしまいました。
内容はね、素敵(笑)。ほんとうに、くだらない回文だらけで。詳しくは書かないけど、きっと検索したら少しは出てくるだろうから、検索とかしてみてください。濁点とかを無視するせいで、回文マニアには受けが悪いみたいだけど、ま、そこはそれ、面白いから良いのだ。あと、巻末に紹介された回文の索引が載っていて、気になった回文を探しやすいのも○。
この本に載ってたわけじゃないけど、高校のとき、友人のM田が相撲雑誌(ってなんだそれ)に載っていたと言っていた「肉の多い大乃国」って回文が、個人的には好きです。
アーザル・ナフィーシー/テヘランでロリータを読む
タイトルがキャッチーだったので読んでみた。ロリータ (新潮文庫)は読んだことなかったけれど、読んでみようかなという気分にはなった。
内容はというと、イラン革命でイスラム化が激しくなっていった当時、文学を教えていた著者は、だんだん大変になって行く的な、そんな話。ざっくりまとめ過ぎたけど。
でも、実をいうと、全部読めなかった。
なんか、文学について詳しくないから話について行きにくいってのもあるけど、それよりも文体が文学的すぎて、「うーん、何のことやら」って感じだったりしたので、2/3ぐらい読んだところで「もうムリ」ってなってしまったのですわ。イランの情勢にも興味あったから読んだんだけどねえ。
イラン革命(ってそもそもこの言い方あってる?ホメイニがアレしたやつ)当時のイランは、なんだかまるで戦前の日本のようだなと、戦前の日本に生きてたわけではないけど思った。米国暮らしをしていた著者の目から語られるので、主に親米(というか親自由主義)なので、イスラム原理主義のダメだと思われる部分に懐疑的な形で語られているから、余計にそうなのかも。
ところでこの本のの表紙、なかなか素敵。まあ、ちゃんとベールを被ってないから、ちゃんとしたイスラム教徒的には、「ほら、だからこいつ(僕のことね)が欲望を覚えたではないか」となるんでしょうが。
ちなみにこの本に僕は「テヘロリ」という愛称をつけました。「イスタンブールでロリータを読む(イスロリ)」とか「カイロでロリータを読む(カイロリ)」とか、いろいろ姉妹編希望。また最後まで読めないかもだけど。
サミュエル・P・ハンチントン/文明の衝突
世界を8個の文明、つまり西欧、中国、日本、イスラム、ヒンドゥー、東方正教会、ラテンアメリカ、アフリカに分け、冷戦後の世界ではこの文明間の争いという形で紛争や戦争が起こるだろうと指摘した本。911よりも前な本だし、僕が国際関係の情勢に疎いこともあって、よくわからない部分も多かったけど、面白かった。今後は文明間の争いが増え、文明間の争いというのはイデオロギー間の争い(すなわち冷戦。たぶん)に比べて、妥協がしにくいとか。今後はイスラムと非イスラム間の衝突が増えて行くだろうとか。基本的に、西欧人の視点から、では西欧がいまの繁栄を守るためにはどうしたら良いのか的なことで書かれているので、「そっかー日本は独自の文明として立ってるんだな!立派!」とか、そういう視点で読んでると肩すかしをくらいます。というか独自の文明を小さな国ひとつだけで持っているということは、この本の立場からすると、かなりリスキーなことなわけで。
じゃあ今日的にはどうなのよってのを読みたいなと思ってたら文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)って本があるみたい。早速読むことにしました。
近藤淳也/「へんな会社」のつくり方 (NT2X)
この日記のサービスを提供してるはてなの社長の近藤さんが書いた本。どこだかで公開されてた日記をまとめた本なので読みやすく、通勤時に読み終えられるほど。
これを読んで、やっぱり良い意味で(悪い意味も少しあるけど)バカな人だなあと思ったし、あと、ものすごく言語化するのが(つまり屁理屈つけるのが)うまい人だなと思った。
とても良い本だと思い、最後の方、いろいろな意味で(本当に)少し涙が出てきた。「IT業界は謎」って言ってた就職活動中の知り合いに「読む?」って聞いたけど返事なし。読むと良さそうなので無理矢理読ませよう。