萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

IAMAS 2012 卒業制作展に行ってきたよ

これがつまんなくてね・・・。巡り合わせも悪かったのかもしれんが・・・。

それは金曜日のこと。昼の12時半に仕事を終わらせ岐阜へ。以前から気になっていたIAMASの卒業制作展を見るためである。IAMASはざっくり言うとメディアアートの大学。メディア芸術祭に応募したりスマホアプリ作ったり電子書籍作ったりしている自分としては、いろいろと学ぶことがあるだろうと思ったのである。デジタルネイティブが作るメディアアートとはどんなものだろう的な期待もあったりして。

3時間ほどかけて初の岐阜に到着。バスの時間の関係でさらに1時間ほどかけてIAMASの卒業制作展会場へ。

受付で「いま音楽のパフォーマンスやってるんで見て行ってください」的なことを言われ、いつもはこういう展示でビデオや音楽などの「時間もの」はほとんど見ないんだけど、IAMASの学生が出す音ってどんなんだろうと興味が沸きホールへ。

一発目の、岡村綾子という人が「ギター、パーカッション、ヴォーカルなどをリアルタイムに処理しながら浮遊感をテーマ」にしたライブをしていた。まあ、正直そんなに面白くないというか、Ash Ra Tempelから何年経ってんだというか、使う楽器も凡庸というか、お前アートやってんだろ見たことあるようなことやってんじゃねえよというか。

まあ、なんでこんなに文句たらたらかというと、パンフには16時からと書いてあり、次の出番が16時半であるにもかかわらず、16時40分になってもまだダラダラとつまんない音出してたからなのね。かつ、2番目というのが「ミシンを使って布に糸を縫い合わせていきます。縫合された布は楽譜となり、巻き取られることによってメロディを奏でます」という、すごい心踊る内容だったから、待ってる間イライラしてたわけ。かつ、展示自体が18時までなので、あとでいろいろ他のを見てまわることを考えると、17時くらいにはホールを出たい。

イライライライライライライライイライライライイライライライイライライライララララとかしてたらようやく終わる。

待つ。

待つ。

もっと待つ。

なかなかミシンが現れない。

10分ほど経過したところでスタッフぽい人が準備にあと10分ほどかかる旨をアナウンス。

言うの遅いよ。

というわけで仕方なく諦めて展示会場に。

最初に見た、福島薫「管理された聴取音楽『No.3』」というのが、また面白くなかった。「この音楽作品は、鑑賞者に『与えられた指示に従って聴取する事』を要求します」という内容なんだが、なんか指示の出し方も面白くないし、結果聴こえてくる音も面白くないし、つうかこういうのって50年代にやられてなかったっけ・・・。

と、なんか出会うタイミングが悪かった気がするんだよね。メモを見返したら、全体の作品数に対して「面白かった」と思った作品も多かった気がするし。でもなあ。うーん。

というわけで、以下、面白かったと思ったもの。

米田裕美/逢本

「既成の文庫本を用いて(中略)同タイトル・同作家の古本と新本を組み合わせ、特徴的な装丁を持つ文庫本を制作」したというもの。

という説明では何のことかよくわからないと思うけれど、たとえば、宮沢賢治銀河鉄道の夜」の、昔の版(古本)と最近売られている版(新刊)の、同じ文章が出てくるところで本を切ってしまって、つなげているのね。なので、本を読んでいると、最初は古本、途中から新刊、また古本、みたいに変わっていく。

古本は文字が小さくて紙も黄ばんでいる。新刊は思った以上に文字が大きい。紙も綺麗。

この、行き来する感覚が面白かったし、電子書籍も多くなって本というのは「中身」だよなという共通認識が増えてきたところに、あえて逆に「外身」を意識させる試みが素晴らしいと思った。

惜しむらくは、「同じ文章が出てくるところ」でつなげているので、1冊で、そう何回も入れ変わりが発生しない。たぶん「同じ文章が出てくるところ」をルール付けしてしまったせいでそこにこだわったんだろうけど、むしろ「ころころ変わる感じ」を強調するために、そのルールを変えるというか、そもそものルールを「結果が面白くなる」ようにねじ曲げれば良いと思うんだよね。まあこれはでも、僕もアルゴリズム作曲とかするときに陥る罠ではある。

とにかく、ずっと眉間に皺を寄せて展示を見ていた僕が、この作品を見てようやく笑顔になったので助かった。

岡村綾子/X-Colors #000

さっきボロクソに書いた人の別の作品。こちらは良かった。まあ、「見たことある感じ」はぬぐえないけどね。

透明なシートが少しずつ離された状態で天井から吊ってある。そこに映像を照射することで、少しずつ重なった、少しずつズレた映像が現れる。

栗山絵吏/The shadow of water

「水と光の自然表現とコンピュータによる表現を組み合わせた作品」。微妙にブレンドされきってない感じが良かった。

白鳥啓/Octet Mobile

「8台のモバイルデバイスを使用したサウンドインスタレーション」。8台のiPod Touchが吊るしてあり、空中を舞っている。んで、そのそれぞれが音を出していて、かつ、その音は互いに干渉している。

互いに干渉することで複雑な音が生み出される感じと、8台のiPod Touchが浮かんでるシュールでくだらない見た目が、ギャップじゃないんだけど、それこそ「干渉」して面白い結果を生んでた。

澤村ちひろ/Immersive Room

白黒の手書きアニメーション。

簡単に言うとそうなんだけど、照射している壁にある扉を作品の中に組み込んでいるのが、とても効果的だった。

本当に3Dだし。

こういう、行かなきゃダメなのは楽しい。

ところで

作品の感想は以上。

帰りに名古屋に寄ってジャンボエビフライを食ったらジャンボすぎて参った。