今日はこないだ応募して落選した武満賞の本選だったのでオペラシティに観に行きました。えーと、正確に言うと「2009年度武満徹作曲賞本選演奏会」であります。
ちらちらっと感想などを。
開演前
やはり何人か、見覚えのある顔を見かける。知り合いというわけではないから声はかけたりしないけれど。
で、なんとなく「やったらダメかもなー」と思いながらまだ誰もいない舞台の写真をiPhoneで撮ってたら案の定係の女の人が来たのだけど、そのときにはもう画面がiPhoneのホーム画面に戻ってて、係の人は「あ、すみません、写真を撮られているのかと思ったものですから」と言っていた。ごめんなさい、撮ってました。のですぐ消しました。
あと、客席にMAGMAのTシャツを着た人がいて、「おお!」とか思ったんだけど、僕はNEU!のTシャツを着てたので、「僕の方が空気読めてる!」と嬉しくなりました。なぜならMAGMAはフランスのバンド、NEU!はドイツのバンド、そしてラッヘンマンはドイツ人。えへへ。
まあどうでもいい話。
ルカス・ファヒン(アルゼンチン)/Crónica Fisiológica Universal
そんなこんなでひとり目。
「くそー、落ちたんだよなーオレ」とか「やっぱこんな賞受けるとかアホなんじゃん?自分」とか「賞受けたことが自体がウケるつーか死ねし」とか「いいじゃん別にタダなんだし」とかいろんなこと思ってたら曲が終わってた。ごめん。でもなんか、いい気持ちになる曲だった気がする。
ラファエレ・グリマルディ(イタリア)/Creatura temporale
1曲目聴いてたら気持ち良くなってきたし、だんだん「それはそれ」的に普通に楽しくオケを聴けるようになってきた。
で、この曲は、まあ僕はあまり詳しくないので見当外れかもだけど、ホルストの惑星を今風にしたような曲かなあとか思った。わりと聴きやすいし、でもなんか暗黒っぽい音も鳴るし。
最後の方に、ヴァイオリンの人とかが楽器を吹く場面があるんだけど、そのとき楽器を口の前に持ってくるんで「ジミヘンキターッ!」とか思ったら歯で演奏するわけではなかったのでちょっと残念だった。吹くのはなー、なんか現代音楽の人こういうの好きねーって感じ。でも、やってるヴァイオリンの人たちとか、ちょっと恥ずかしそうなのが面白かったりかわいそうだったり楽しかったりした。ほんとんとこ、どうなんでしょうね。
あと、特に男の人たちの服装を見てたら、演奏後に「実はこの中のひとりはオーケストラの団員ではなく、ただのホテルマンです!」とか言われたらどうしようとか思ったけど、そんなことはなかった。昔観た大人計画の芝居で、「実はひとり素人でした」ってのがあったことを思い出した。
木村真人(日本)/果てしなき反復の渦−混沌の海へ
なんか中学生みたいなタイトルはどうかと思うんだけど、まあそれはそれとして、カッコ良かったこの曲。
なんでしょう、うるさくて速いフェルドマンみたいな。うるさくて速かったらフェルドマンじゃないでしょうという気もしますが。
スコアが見える場所から観たんで、それによるといろいろ複雑なことをやってそうなんだけど、でも全体的な印象は「反復」なんだよね。それがフェルドマンぽいと思ったのかも。
死ぬほどどうでも良い情報だけど、コントラバスの女の人がかわいかった。演奏しながら表情がくるくる変わるところとか。
山本和智(日本)/ZAI For Orchestra
プロフィールによると「作曲を独学で学」んだらしい。ひとつ前の木村さんは「独学でピアノを始め」たらしい。こういう人たちがちゃんとファイナルに残ってるんだよなー、すごいなー。
と思ってたら始まったんだけど、最初「なにこのつまんない曲」とか思ってたんだけど、だんだん「あー、これ面白いかもー」とか思うようになった。
うまく言えないのだけど、いろんな場所でいろんな音楽がそれぞれ流れてて、全体として微妙にひとつになってない感じの曲。生のオケで聴くのも良かったんだけど、ヘッドホンで聴きたい気もした。
「微妙にひとつになってない」ので(あくまでも僕の感想ね)、ちょっとイライラする曲ではあったんだけど、でもやっぱり面白かった。
まだ結果を知らない僕なんだけど、この曲が本選を通ったのではないかなーとか思ったがどうなんでしょうね(面倒だから調べない)。
いちおう、見終わってすぐ、twitterでもそのようなことを書いてみた。
HAGIHARA Yoshiaki @hagitter |
武満賞本線演奏会見終わった。結果はまだ出てないけど、4つ目の山本和智「ZAI For Orchestra」が選ばれる気がするなあ。いろんなところからいろんな音楽が聞こえるような曲。ちょっとイライラしたりもしたけど。 - Photo: http://bkite.com/081HF (2009-05-31 17:17:24) | link |
ま、どうでもいいけど。
そしてさらにどうでもいいことを書くと、さっきのコントラバスの人に加え、今度はパーカッションの人がかわいかった。小さい体でいろんな打楽器を演奏するさまが。
なんか気持ち悪いね僕・・・。
ああそうそう、最後にオケの人たちが拍手をするのだけど(演奏の一環として)、ちょっとあざとい感じがしたかなあ。
酒井健治(日本)/ヘキサゴナル・パルサー
なんかよくわかんなかった。
プログラムノートによると、パーカッションとかピアノの人が発するジェスチャーが他の人達に伝播していって、という曲らしく、たしかに、同じ音型がいろんなところから聴こえてきたような気もするのだけど、「で?」みたいな。
ジェスチャーを見るためか、装置は派手だったんだけどなあ。
ドラムセットとかあったし。
まとめ
コントラバスの人とパーカッションの人がかわいかった。
うそ。
いや、うそじゃないけど。
そんなことはおいておいて、なんか全体的に曲が似てた気がしたのがちょっと残念かなあという気もしたかなあ。まあ、ひとりの作曲家が選ぶから、どうしてもそうなるのかもしれないけど。もしくは、単に僕の中の分解能の問題かもしれないけど(こっちの方がありそう)。
あと、一応応募もしたので、その関係で思ったのは、なんでこういうのって楽譜で応募なんだろうなあと。まあ、実際に演奏して録音して応募なんて無理だとは思うから、楽譜で応募が妥当だとは思うんだけど。でも、もともと西洋音楽が「勝った」のって、楽譜が存在したことで客観性を持てたり、ポータビリティを持てたせいだと思うんだけど、それがいまや形骸化してないかなあと。最終的に「どんな音がするか」が大事なわけで、「どんな楽譜か」なんて、そう大事ではないと思うんだけどね。あと、クラシックの人がクラシックな楽器にばかりこだわるのも、なんかもったいない気はするよねー(こだわってるかどうか知りませんが)。
とにかく、いままで優位性の源泉となっていたものが、逆に足を引っ張ることってあるよねと、そんなことを思ったコンサートでした。
以上、意外とマジメにまとめてみました。
2009.06.01 02:19追記
まだ詳しくは読んでないけど、どうやらヘキサゴナル・パルサーが1位だったらしい。
えー。
あれかなあ、2階席から観たらけっこう良かったのかなあ。いろんな装置(ジェスチャー見る用のモニタと思われるもの、など)がちゃんと見えたとか。それか、僕はパーカッションの人ばっかり見すぎて全然聴けてなかったのかな(そんなことはしてません)。
まあでも、言われてみれば、わからんではないって感じも、あるにはあるけどって感じかなー。
なかなか難しい。
までも、面白い。