萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

なごみゃ(最近の名古屋の若い子は名古屋のことをこう呼ぶらしい)

というのはもちろん嘘ですが、いま名古屋に来てます。

そしてむしろいまのところまだ「1みゃー」も聞いてない。方言を聞くのが好きなので、駅や街中で楽しげな会話をしている人にこっそり近付いてはみたものの、わりとみんな標準語な感じでした。

なぜ名古屋にいるのかというと、先日知り合いのデザイナーさんとバレエの話になり、シルヴィ・ギエムって人のボレロがすごいという情報を入手したんですね。たまたまちょい前に、念の為と思い探してみたらストラヴィンスキー春の祭典のDVDを見つけることができたりして、バレエ面白そうだなモードになってたのです。そんなときにそういう情報だったので見たくなり、でもチケットを入手しようとしたら東京の公演は売り切れ。普通はここで諦めるんだけど、つい名古屋公演の情報を見たらまだチケットがあった。うーん、と。そんで、これまたちょい前に僕の大好きな抽象画家のアド・ラインハートについて調べてたとき、名古屋の美術館で見れるらしいぞと。

だから、足しちゃったのね。

前に、みうらじゅんさんといとうせいこうさんのスライドショーを見るのと、たこ焼きを食べるのを合わせて、大阪に行ったように。

帰省の途中で広島に泊まって、お好み焼きを食べたように。

というわけで名古屋。最初はゆっくりするつもりが、明日、上野で面白そうな現代音楽のコンサートをやることを発見したので昼過ぎに東京に戻らねばならず、若干、強行スケジュールです(そういえばテクノ幼稚園を見に沖縄行ったときも強行スケジュールだったな)。

名古屋市美術館

上野のコンサートがなければ豊田市美術館にも行くつもりだったのだけど、そんな時間はなくなってしまった。ので、まずは名古屋市美術館

が、ですよ。

たまたま来たら、モネ「印象 日の出」展てのをやってまして。きゃー!って感じ。昔は全然印象派とかわかんなかったけど、多少本を読んだりしたらわりと好きになったのね印象派。特に、モネの「印象 日の出」とか「日傘をさす女」とか。「日傘をさす女」は携帯の待ち受けにもしてるんだよねー(日の出と交代で)。

で、混んでたけどやっぱり生はよかったなー。でも、なんか絵が置かれた部屋の壁が一面赤くて、目がチカチカしたな。あれは狙いだったんだろうが、どうなんだろう。そして順路に沿って進んで2階に上がったとき、目があった係のお姉さんが指す方向を見たら、上からも「印象 日の出」を見れて少し楽しかった。お姉さんに微笑みかけたら、お姉さんも微笑みで返してくれた(ような気がした)。

が、しかし。「印象 日の出」以外の絵は、正直そんなに面白くなかった。混みすぎてて、あまり近くで見れなかったのもあるけど、印象派の絵を近くでも見るのも違う気がするし、まあこんなもんなのかなあ。ルノワールの「読書するふたり」はかわいかったかな。

印象派を見たあとは常設展へ。この常設展がなかなか良かった。

福岡の美術館でも見たアニッシュ・カプーアの「虚空」のサイズ違い。ちょうど顔を中に入れられるような場所に置いてあったんで顔を入れてみた。まっくらだった。と書いても謎だと思ったので写真を探したけど見つからないなあ。濃い青の半球が浮かんでるのよね。

アンディ・ゴールズワージーの写真モノ。紅葉した葉を緑から赤までグラデーションで並べてあったり、割れた石を集めて文字のようにしたり(詳細は記憶違いかも。ここに、今回見たのとは違うけどいくつか写真あり)。

メキシコ・ルネサンスの一連のものも、迫力あってよかった。藤田嗣治の自画像は、右下の猫が良かったな(と書きつつ絵を探して見つけたのがこれ。右下じゃないね)。

あと、アメデオ・モディリアーニの「おさげ髪の少女」があり(ここの2個目)、目がちゃんと描いてあるとかわいいなと思いました。なんか子供向けのクイズをやってて、「この女の子は何歳ぐらいでしょう?」という問題に、僕の隣で小学生と思われる兄と妹が「10歳くらいかなあ」と言ってた(ここでも「みゃあ」は聞けず)。

ただ、コーヒーショップの名前が「ステラ」なのはちょっとやり過ぎな気がしたよ。だってステラの作品、ひとつしかなかったもんね(かつ、僕の好きなミニマル系ではなかった)。

愛知県美術館

続いて愛知芸術文化センターというところにある愛知県美術館へ。ちなみに今日見たバレエもここの大ホールでやってた。文化施設が集ってる場所なのね。

で、今回の旅行は先日購入したiPhoneを片手に行動してるんだが、なんかあまり使えないなあとか思ってしまった。バッテリーすぐ切れるし。名古屋市美術館出たところでGoogleマップのアプリ使って愛知県美術館を検索したら「ソフィア ラブホテル」ってところのみヒットするし(これはGoogleが悪いのか?)。

さておき、移動して着いた愛知県美術館。なんか日展をやってたんで一瞬迷ったものの一応見てみた。ある意味正解、ある意味失敗。

なんつーか、展示作品の数が多すぎて、玉石混淆つー感じですかね。あとは出品者の関係者とみられる方々が多くて混みすぎ。というか、行き場に困った自意識がとぐろを巻いてる感じというか。ちょっと言い過ぎか。作品を発表する場ってなかなかないから、仕方ないのかもね。自分でギャラリー借りて個展とか大変だし・・・。

もちろん、玉(というか自分が勝手に気に入ったもの)もいくつかあったので、楽しめはしたのだけど。

最近、ちょっと書に興味があり、書の展示があったのが今回日展を見た大きな理由だったのだが、書はまだやっぱりよくわからん。よさげな入門書を探してるけどいまだ見つからず。そうそう、こないだのオリンピックのアナウンサーの「北島すごい!無敵です!」みたいなアナウンスを書にしてるやつがあって、「なんだこりゃ(苦笑)」とか思ったけど、これはこれで正しいのかもしれんなと、あとになって思った。

日展で疲れたあとはアンドリュー・ワイエス展。イメージ検索するとわかるけどリアルな絵。なので、僕はそんなに趣味ではない。でも、下絵とか習作とかをかなりきちんと並べてあり、絵を描く人が見れば結構面白かったのではないかと思われる。

その後、これまた常設展へ。やっぱり常設展が一番良いなー。でも、ラインハートは置いてなかったし(ちゃんと調べて行けよな>自分)、ちょっと期待してたクレーも見あたらなかったし、パンフにあった気がするルイスもなかったし、「あれれれ?」という感じ。でも、フォンタナの空間概念の黒を見れたし(赤を見たい)、デルヴォーの「こだま」は恐しくて素敵だったし、クリムトはやっぱりエロいし。日本人の画家で良いなと思う人ってあまりいないのだけど、今回見た沢居曜子って人のはよかったなあ。ケント紙にカッターで切れ目を入れといてから、そこに黒い色を付けてくのね(ここにちょい詳しい説明あり)。面白かった。あとはコピー用紙にひたすら黒鉛筆で塗り込めたというようなやつがあり、とてもよかったが名前忘れた。

あ、そうそう。日展では「会場横断ウルトラクイズ 僕は日展博士!」という子供向けイベントをやっていて、「○○さんの絵のタイトルはモネの絵と同じタイトルです。何というタイトルでしょう?」みたいな問題なんだけど、子供たちは意外と楽しそうだった。まあ、こういうところに連れてこられる子供は「いい子」が多くて、「いい子」は、つい「いい子」を演じてしまうのかもしれませんけどね。

名鉄イン名古屋駅

そうこうするうちにホテルにチェックインできる時間になったのでホテルへ。同じ建物でバレエも見れるからそのままいてもよかったけど、荷物重いし。

でこのホテル、名古屋駅前ということで検索し、でもあまり近いと高いので若干遠いところを選んだのだが、名古屋駅じゃなく、亀島駅が最寄り駅だった。が、亀島駅まではとても近いし、名古屋駅から離れるせいか少し安いし、中はキレイだし、とても良いホテルだと思いました。

愛知県芸術劇場大ホール

で、今日のメインのバレエを見に再度戻る。

今回、チケットを取ったのが遅かったので、なんと、5階席。1階、2階とずーっとちゃんとあって、本当に5階に席がある(あたりまえ)。そして4階席より上にはエスカレーターとかなくて、わりとちゃんと階段を歩かないといかん。

しかたない。

一発目、「ギリシャの踊り」。群舞から始まったんだけど、「あれ?5階席アリじゃん」てな感じ。全体を見通せて、わりに良かった。どうせこちらはバレエについて無知なので、お目当てのダンサー(という言い方がもう間違ってる気はする)なんかいないし。まあなんつーか、普通に、鍛えられた肉体って素敵ねえという感じであった。

二発目、「中国の不思議な役人」。バルトークのアレ。で、これは実はモスクワのバレエをDVDで見たことがあったので、演出の違いを楽しめた。モスクワのやつは「中国」というのがものすごくおおざっぱに「東アジア」になっちゃうのに対して、こちらはそうはならないわけで。スーツ着てバレエってのが面白かったですね。一発目は、男子は上半身裸、女子はレオタードみたいな感じだったので。

しかし、「中国の不思議な役人」てちょいエロい話なんだけど、わりと動作で思いっきり性行為な感じの動きがあり、そういえば先日モスクワのDVDの方をバレエやってる小学生の女子に貸したことを思い出し、あれを貸すのはさすがに変態すぎたかなあと反省してしまいました。

とそうこうするうちに、最後の方のシーンで、女子のダンサーの人たちがセクシーな衣装(つーか下着姿)で登場して踊ってて、つい身を乗り出してみてしまった。一発目のレオタードのときに、これで扇情的な衣装だったらまた見え方違うんだろうなあとか思ってたので。なんせ5階席なんで身を乗り出そうが目を細めようが見えないものは見えないんですが、でも、美しかったです。ただ、全員余分な肉がついてないスレンダーな体型だったもんで、なんかそういう専門のお店の人達みたいでした(Aカップ専門店みたいなやつ。詳しくは知りません)。

さておき、最後はお目当てのボレロ

これがですねー、ものすごくよかったんだよねー。

と、これを書きたくてダラダラ日記書いちゃったんだけどね。

舞台中央に大きな、そうね、半径2メートルぐらいかなあ(5階席だから自信なし) 、の、赤い円形の台がひとつ。そこで女性ダンサーが踊ってる。ボレロは基本的に同じメロディーを20分間ずーっと繰り返してるだけの曲なんで、踊る方も飽きさせないの大変だと思うんだが、これがすごかったなあ。ちょっとづつ動きが変わっていって。

そして、曲の進行に合わせて、まわりに40人ほどいる男性ダンサーたちが、ちょっとづつ踊りに参加してくる。そして最終的に群舞になってジャーン!みたいな。

いやー。

ほんと、すばらしかった。

これを見てしまうと、面白かったと思った「ギリシャの踊り」も「中国の不思議な役人」も、中学のときにクラスの女子がやってた創作ダンス(布を振って水面とか炎とかを表したりする)に見えちゃうなあ(クラスの女子ごめん)。

と、書くの疲れたので最後駆け足になったけれど、「ギエムのボレロはすごい」は本当でした。東京公演、当日券出ないかなー。