萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

武満徹作曲賞

そんなわけで先日観に行った武満賞(武満徹作曲賞)、結果が出てましたねえ。いや、ほら、僕4作品聴いたら結果発表を待たずに帰っちゃったから。

というのも、3人目の「広島・長崎の原爆投下についてどう思いますか?」で決まりだなあと思ったのよね、これを聴いたときに。ネタとしては、「広島・長崎の原爆投下についてどう思いますか?」というアンケートへの回答を元に、回答の文章を品詞分解して曲にするというもので、題材がちょっとあざとすぎる気がするけど、僕の趣味ではある。でも、僕の趣味どうこうより、「Electric Counterpoint / Different Trains, Electric」とか出してるライヒ的には、題材としてもって来いな感じするもんね。たしかほら、Different Trainsって、2度の対戦に関する証言の声が音楽に重なるやつだもんね。「広島・長崎の原爆投下についてどう思いますか?」も、演奏にかぶせて、左右から、英語と日本語でアンケートへの答が音声で再生されてたもんね。音も、品詞分解して作るともっと出鱈目になるのかと思ってたら、わりと基本的なリフがループな感じで、ある意味ミニマルという感じ。もうちょいミニマルよりもメロとしては長くて、マイケル・ゴードンThou Shalt Thou Shalt Not / 4 Kings Fight 5とか、あとクラシックじゃないけどGentle Giantの何かとか、PFMがGentle Giantの影響を受けて作った何かとか、そっち思い出す感じよね。

そんなわけで、ライヒ受けしそうなネタだったし出音だったんで、こりゃあこれに決まるよなあと。あえて言えば、「マネすんな!」とか言ってあえて外すという線も考えられたんだけど、そうすると、なんというか、いままでの自分否定したことになるんかなということで、やっぱりこの曲でしょうと。

4曲目の「16_1/32_1」なんかは、2年後のトリスタン・ミュライユの回の方が良かったんじゃないかなーとか思ったなあ。いや、そんなに詳しくないから「スペクトル楽派」って名前だけで語ってますが。変則チューニングで、メロというより、音響な感じだったんで。ただ、ちょっと長かった(つまり飽きた)のと、もっと「びょみゃーん♪」みたいに音響で迫るかと思いきや意外と普通にメロ(というメロではないが)があったのが、少し中途半端な気がしたよねえ。

順番がグチャグチャだけど、1曲目の「God in the Machine」は、スピーカー(たぶん)の上に置いたスネアドラムが、人の手を介することなく音を出すことで、Mortal Fleshな僕らの手を離れた云々というネタは、ちょっと考え落ちだった気がするね(要するにあまり面白くなかった)。けど、生の弦と録音の弦が、前者ハイファイ、後者ローファイな音で重ねられてたのは、僕は好きだったなあ。もっというと、ライヒの「なんちゃらカウンターポイント」って、録音したものプラスその場の演奏ではあるけど、録音したものの音色が普通だから、いまいち、萌えないんだよねえ。

えーとせっかくだからもうひとつ2曲目の「La Noche de Takemitsu」は引用を主体とした音楽だったらしく、まあ教養がない僕なんかは何がどう引用されてるんだか意味不明だったけど、中間部の変拍子フレーズは良かったなあ。あの部分のドラムが、ずっと鳴ってたら良かったのに。

とまあ、そんな感じですか。近くで観てた作曲科の学生らしき若者たちが、「広島・長崎の原爆投下についてどう思いますか?」演奏後に起こったブラボーに関して、「あれがアリだったら、僕らがいま勉強してることなんて意味ないじゃーん」とか、「あれじゃあ誰がやっても同じじゃーん」とか言ってたみたいだけど、若者たちは、やっぱり若いなあという感じですねえ。あと、変則チューニングのときに「うわー、気持ちわるーい」的な反応をあまりオーバーアクションでやられると、絶対音感の「ぜ」もないので変則チューニングだろうがあまり気にならない僕がちょっと悲しくなるので、そういうことは止めていただきたい。

あ、あと過去の受賞者見てて気が付いたんだけど、前に書いた日本のSEはこれからどうなるのかでインタビュー受けてもらった長生淳さんて、ルイ・アンドリーセンの回で受賞してんのね。武満賞を取ってるのは知ってたけど、アンドリーセンに認められての受賞ってスゲー。インタビューした当時は現代音楽聴いてなかったんで、全然気が付いてなかったよ。素敵。どうでも良いけど、長生さんの苗字を入力するとき、「ながお」って打つより「ながいき」って打つ方がラクなんでそうしてるんだけど、それってダメですか?