萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

まぼろちライブ@上京11年土佐正道

さてライブ当日である。去年も出してもらった土佐さんのイベント。ちゃんと練習もしたし、このメンバーで先月もライブやってるし、まあなんとかなるだろう。「このメンバーで」というのは、現在まぼろちは第3期のメンバーだから(プログレっぽい言い方をしてみた)。そう、4回目のライブなのにドラム3人目なのであります。

16時半からリハということだったので16時に現場入り。余裕を持って入ろうと思っていたのに思わず農業の本を読んでしまい、結局着いたのは16時ギリギリ。だがリハが押してるようで特に問題はなさそう。松陰さんところの「BAN-SHAKU」さんや、「水中、それは苦しい」さんのリハを見れたのでちょっと嬉しかった。

多少遅れてまぼろちのリハが始まる。セッティングを終えて各楽器ごとサウンドチェック。「ドラムさーん、スネアくださーい」みたいな。さて僕の番になり、適当に音を出してみる。「他の音色ありますかー?」って聞かれたので「音色は変えませんけど弾き方変えますー」と、指弾きだけではなくピックやスラップもやってみる。と、なんか急に音量が下がったので「なんか結線変えたりしてるのかな?」と思ってたら「あれ、なんか急にレベル(音量)下がりましたね」とPAの方が。なんだよ今日もかよーと思いながら、ベース叩いたりしたものの直らず(そりゃそうだ)、一応ということでベースの電池を入れ替えてみることに。昨日も入れ替えたけど。

電池を入れ替えるのにドライバーとか必要なんでその間他のメンバーのサウンドチェックをしてもらう。僕以外のサウンドチェックは手際良く終了し、「リコーダーもうひとりはどなたですかー?」、「僕ですすすすみませんもももうちょい待ってください」とか言いながらまずベースのチェック。音が出た。なんだよもう。1日で電池切れるってヘンくなーい?んもう。ちなみにアルトリコーダーサウンドチェックは無問題で終了。良かった良かった。しかし。ベースに関してはちょっと不安だ。リハ終わりにPAの方に「あのー、ベースそのものを変更したらPAさん的には大変ですよねー?」と聞いてみる。「?」という顔をされてしまったので「いやほら、最悪音出なかったときに、スペアのベースあると良いかなーって思いまして」と答えたところ「あーなるほどー」と。でも表情が何かを物語っていたので「まあでも、PAさん的にはベース変わっちゃうとセッティング違くなるから、ベース変えるなんてナシっすよねー」と言ってみたら「まあそうですねー」との答え。そりゃそうだ。それやって良いのなら、何のためのサウンドチェックなのかわからない。

がしかしだ。音が出なかったらコトである。さっきの質問したことで匂わせましたからひょっとしてって思ってますよねその通りですごめんなさいと思いつつ、やはりスペアのベースを買いに行く。自宅にもう1本ベースがあるのだけど、戻っている時間は、無さそうだったので。

メンバーにお金を借り、日が落ち肌寒くなった夜の池袋へ。ちょうど帰宅ラッシュで道が混んでいる。確かどっかに石橋楽器あったはずだけどと思ったのだが思い出せず、人の波を縫って交番へ。「あのー、このへんに楽器屋さんないですか?」東口の方にあると思うよという返事を胸に小走り。ありがとう、警察の人。

クロサワ楽器を見つけ、店内へ。僕の場合、結構高い方の音を出すので24フレットまで必要。となると、普通はアクティブベースってことになる。が、並んでいる品々が結構高い。予算は3万円までなのに。すがる気持ちで店員さんに「これ以外にアクティブってあります?」と聞く。「ないですねー」。いやーんまじ?「あとは4階の中古売り場ですねー」。なら早く言っておくれ。

急ぎ4階へ。3万以下のベースが2本あったんで、安い方を買うことにする。「あのーこのベースの音出ししたいんですけどー」。若者が何かを店員に質問していて、店員が僕に気づいてくれない。早くしてくれー。こっちはあと1時間半でライブ本番なんだよー。でもライブ当日に楽器買うなとかは言わないでくれよー。そんな願いが通じたのか、入り口のあたりに新たな店員さんが出現。今度はアイ・コンタクトに成功し、ベースを触らせてもらうことに。試奏用のアンプにベースを刺す店員さん。でも、ベースから音が出ません。なんだよこの店音出ない楽器売ってんのかこんにゃろーとか思ってたら、そのベース、電池が切れてたみたい。店員さんが電池を入れ替えたら、音が出るようになった。さ、弾かせてくれそのベース。ものすごく弾きにくいベースじゃなかったら買うからスグ。僕の心を知ってか知らずか、おもむろにチューニングを始める店員。音叉を耳に当てながら、非常に丁寧な仕事ぶりである。ただ、いまの僕は丁寧さを求めていないのである。おまけに正確さも求めていないのでチューニングも適当で良いのである。あー、早くして早くして早くして早くして。

願いが通じてチューニングが終了。渡されたベースで急ぎ今日演奏する予定のソングたちを弾いてみる。グリッサンドの幅が広いフレーズ、3本まとめてコード弾きするフレーズ、スラッピングつまりチョッパーなフレーズ。よし、良いでしょう、買いますよお兄さんこれ即効で包んでください。なんてことは言えず普通に楽器が用意されるのを待つ。その間にお客様情報を書かされる。いまここで楽器買っているのは単にライブハウスから近いからですからこんな情報取っても無意味ですよだってたぶん僕もうこの店2度と来ませんよ池袋って年に2回ぐらいしか来ませんから、と考えながら記入していたら楽器が来たので受け取り、走る。ライブハウスへ、走る。

走りながら、PAさんに今日のライブを録音してもらうよう頼み忘れたことに気づく。メンバーの携帯に電話するもライブハウスが地下のためつながらず。急遽ベースを持ったままMDを売ってそうな店を探す。すぐに見つけたコンビニで見事ゲット。ツイてるね、ノってるね。ふう。

開場時間が過ぎていたのでお客さんが並ぶ受付を、ベースを持って横切る僕。もう、何やってるんだろうなあ。と、並んでるお客さんの中にGentoo知り合いのmatsuuさんを発見。吃驚!と漢字で書いてしまうぐらいびっくり。来てくれたんですねありがとうございますスペアのベースも買ったから完璧ですよという思いを微笑みに託し、楽屋へ。そうこうするうちに開演。たまにフロアにも下りてスメリーさんを見たりしつつ、出番を待つ。

と、その出番が意外と早くやってきた。

通常この手のイベントは押すものなのだけど、予定されていたタイムテーブルよりマキで進んでいる模様。5分マキでという指示を受けたのだ。

ちゃんとベースの音出ますようにスペアのベース買ったけどあれは単なる保険だからあれを使うハメになりませんようになどと心の中で唱えながらステージへ。結構、お客さんが入っている。知り合いの顔もちらほら発見。1曲目は、いきなり始めたかったので、PAさんに準備オーケーの合図を送りDJの音が下がったタイミングで、客電も落ちぬままギターのリフが入る。

1曲目の「うすのろ」で、ライブスタートだ。5拍子の重めのリフですよお客さん変拍子楽しいですよねほら次は7拍子に変わりましたよ、などと思いながら演奏していたら一瞬、耳に引っかかりが。なんかバイオリン、間違えた?バイオリンを見ると「参った」的な表情をしている。口の動きは「弦が切れた」。おいおい、そっちかよ。伏兵かよ。しかもこの曲、エンディングでバイオリンソロがあるんですけど。切れたE弦を、オクターブ違いでカバーしつつ演奏しているバイオリン。クラシックな人は技術力あって良いですね。でも、とはいえ、やはりなかなか完璧に演奏することはできず。しかし、バイオリンの弦が切れることなんて滅多にないよ。

1曲目が終わりMCに。そのときに「バイオリンの弦が切れました」と説明する。「お客様の中にバイオリニストの方はいらっしゃいませんか」とボケたものの動転していてオフマイクだったため伝わらず。が、しかし、今回のイベント、なぜか偶然、バイオリンがいるバンドが3バンドもいる、かなり珍しいイベントだったのだ。というわけで手を挙げてくれた水中さんのバイオリンをお借りし、また、バイオリンの肩当てはBAN-SHAKUのバイオリンの方のものをお借りし、いざ次の曲「破壊の女王」へ。

この曲の13拍子のリフ(正確には6拍子+7拍子のリフ)、自分で言うのも何だがディープ・パープルのBLACK NIGHTとピンク・フロイドのMONEYのリフに超似てる。でもパクったわけじゃないよ。13拍子楽しいねー、変拍子って最高ねー、などと思いながら曲は一転、静かなパートへ。クリアトーンなギターの7拍子の上に、ハイノートのベースが入るのである。

が、また音が出ません。

ああ、一応、僕の見せ場だったんですけどねーと思いつつも、でも一応モニタが返って来てないだけという可能性に望みを賭け、演奏は続けてみる。途中、わざと間違えたりしてみたが、全然不協和音が聴こえない=僕のベースの音はやっぱり出ていない。

あははははははははは(泣笑)。

次のMCで「今度はベースの音が出なくなっちゃいました」というお知らせをして、楽屋へとスペアベースを取りに行く。PAさん怒るかな怒るよな本当にすみません。楽屋前で土佐さんが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる。本当に優しいお人だ。「頑張ります」と答え、急ぎおニューベースを取りステージへと向かう。

買いたてホヤホヤのベースを手に、3曲目「HELLデート」だ。この曲は、実はMCでは言わなかったのだが、プログレらしく円周率つまりパイを元にリフを作った曲であり、と言うと「あーよくあるよねー」と思うかもしれないが、ちまたでよく聞く「パイを元に作ったメロディー」には大きな過ちがあり、それは何かというと1=ド、2=レ、3=ミまでは良いとして、4=ファにしている点であり、なぜかというとミとファの間は半音しか離れておらずつまりファというのは4ではなく3.5なのであるわけで、そこのところを僕はホールトーンスケールを使うことでクリアしてるんだよねと、そんなことを考えていたら、音が変じゃないですか。あ、チューニング合ってない。

クロサワで念入りにチューニングされていたから安心していたのだが、どうやら店員さん、ケースにしまう前に弦をゆるめてくれたらしい。そうだよね、そうしないとネックが反るもんね。というかちゃんとチューニング確認しろよなオレ。さて困った、どうしよう、演奏しない部分がほとんどない曲だからこっそりチューニングするの無理だな、あーもう!

「ごめんなさい、チューニングしてなかった」

こう言って演奏を止めた僕。暖かいお客さんが多くて、僕の発言で笑いが起きたのが救いではあったけれど(ちなみに打ち上げで「演奏止めるなんてザッパぐらいだ」とドラムの人に怒られた。ギターの人には「チューニングぐらい先に確認しろ」と怒られた。怒られてばかりのバンマスです)。焦りながらチューニングを行い、再度演奏開始。静かなバイオリンソロまでは、順調に行ったさ。でもね、またもや僕がカッコつけようと思ってた、ベース+ボーカルのみの部分でベースの音が極端に小さくなった。もう知らなーいって感じで進めたものの、そういえばこの曲、僕キッカケでエンディングだったので、みんな終わり部分をつかめなくなってしまい失敗。こりゃ参ったね。でも大丈夫。次は僕、ベースじゃないから。リコーダー吹く係だから。問題の解決にはなってないかもしれないけど、ほら、少し置いたら、また音が出るようになるかもしれんでしょ?

ギターのクリアトーンアルペジオで始まる小曲「ベリー」。珍しく(笑)コード感のある曲。基本の拍子は7/8である。リコーダーの音があまりモニタに返ってこなかったから自分が出してる音が聞こえにくかったのだけど、もう、音が出さえすれば文句は言うまい。言うまい。言うまい。もちろんアコースティックな楽器だからリコーダーの場合音が出なくなるなんてことないはずだけど、今日はもう、何もかも疑いたい気分なの。しかし幸い、リードが磨耗したりすることもなく音は最後まで出続け、大きなミスもなく終了。トラブルなしって、今回これが初めてかも。

この調子で行けーと思いながら続いての曲「おにぎり」へ。実はこの曲、バンドを結成してすぐに作った曲だったのけど、いろいろな事情が重なって前回の渋谷青い部屋のライブで初演奏となった。長かったなー。基本的には4拍子の曲で、ボーカル入りの部分が終わると5拍子のリフになり、最後は4拍子の、オープニングにも使ったメインのモチーフを転調して再提示。最後はドラムが頭おかしくなったかのように叩きまくる曲なのだ。え?ベースの音は出てたかって?うん、たまにね(笑)。

次はラス前「巨大女心の物語」。僕のベースの音は、とうとう出なくなりました。わはは。この曲、指弾きありピック弾きありチョッパーありと、結構活躍するはずだったんですけどね。なんかもうこうなったらエア・ベースだぜ先輩!と思った僕は、いつもの3割増しの笑顔でベースを弾きまくる。もちろん音なんか出ないさ。でもね、きっと大丈夫。お客さんの心には、僕のベースが鳴り響いてるはず!その証拠に、楽しそうにチョッパリングしてたら、僕を見て微笑んでくれてるお客さんがいたもの。僕がヤケになってると思って笑ってただけかもしれないけれど、いいんだよそんなことは!音が出ないのを気にせず演奏してる僕に呆れたのかPAの方が演奏中に僕の足元へ来てくれる。なので僕も、一応演奏しながらひざまづいてPAさんに状況の説明。ここがこうでこの結線は問題なさそうです的な。そして唐突に気がつく。

「あぁ、これきっと、エフェクターとベースの、どっちも電池切れてるわ」

問題は、ひとつじゃなかったのだ。バグは、複数箇所にあったのだ。いつもバイトに怒ってることじゃないか。いやーんもう。しかしクロサワ楽器の人、せっかく電池入れ替えるんなら、ちゃんと入ってる電池入れてください(泣)。こうして、プログレファンらしくストラヴィンスキーの「春の祭典」を元ネタにして作ったこの曲も終わり、最後の曲を迎えたのでした。

こうなったらこの曲もエア・ベースさ腕がなるね!と思ってたのだけど、PAさんがもう一度さっきのベースを使ってはどうかと言って、わざわざ楽屋からベースを取ってきてくれる。感謝!よーしってんで、エフェクターをオフってみた。ブイーンブイーン!よーし、音が鳴ってるぞー!少なくともいまは!じゃあオーラス行こうじゃないか、ピアソラの「エスクワロ(鮫)」をヒントにひり出した、バイオリンの7/8のメロディーで始まる、「そんなときわたしは鐘をつく」を!

約4分後、最後の曲が終了。終わってみれば30分の持ち時間のところ50分近く時間を使ってしまっていた。腕時計を持っていないことが、こんなところで影響するなんて!ご迷惑をかけた皆様、ほんとすみませんでした・・・。

でも、本当に暖かいお客さんが多く、「最近プログレ聴き始めたんだけど、スマッシュヒットでした!」と、僕に直接言ってくれるお客さんまでいた。素敵すぎる。「次のライブっていつですか?」と聞かれ「いやー、特に予定ないんですよー」とか答えてる素人バンドの僕たちは、あまり素敵じゃないですがね。

ちなみに僕らの次のバンド「水中、それは苦しい」さんの演奏中、またもやバイオリンの弦が切れるトラブルが発生。しかも一番太いGの弦。これじゃあ「G線上のアリア」が弾けないねーなんて話は置いておいて、うちのバイオリン、ちょっと責任を感じたのと不安になってきたのとで、替えの弦を買いに石橋楽器へと走った。2度あることは3度ある。BAN-SHAKUさんのバイオリンにも、何かトラブルがあるかも知れぬ。結局これは取り越し苦労ではあったのだけど、備えあれば憂いなし、対バンにもバイオリンがいるイベントを狙え、ライブの前には電池交換、ギブアップしてしまう前にバックアップ、そんな、ライブでした。

というか本当に、来てくれたみなさん、お見苦しいところをお見せしてすみませんでした。多少なりとも楽しんでいただけたなら良かったですが。また土佐さんを始め、ご迷惑をおかけしたみなさま、すみませんでした。これにこりず、また一緒に遊んでください。

恐ろしく長い日記でごめんなさいね。