萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

メディアアートというやつ(たぶん)を見てきました

六本木のAXIS Galleryっつーところで、IAMAS Gangu Project - Work in Progressというのを見てきました。Software Designに載ってて、ちょっと面白そうだったので。

どういうやつかというと、とりあえず一発目に見たやつについて書くのがわかりやすいと思うんで書きますと、そいつは「アクション!ゆびにんぎょう」というもの。指の先に小さな靴的なものを装着して指で歩くまねをすると音が鳴ると。作品の横に置いてあったメモには、

指の動きに合った効果音が鳴るおもちゃ
歩くと足音が!
跳ねるとジャンプ音がする!!

と書いてありました。が、残念ながら僕が行ったときには調子悪かったのか音が出ず。モノとしても非常にかわいかったので触りたかったけどね。まあ、こういう展示(客が自由に触れる)なので仕方ないでしょう。

と、そういう、なんでしょう、すごくざっくり言うと、センサーとアートを組み合わせた面白いものがいろいろ置いてる展示会。たぶん。実際に制作した学生たち(たぶん←こればっか)が会場にいて、「これ、なんだろうなあ」とか適当に見てるとすぐに横に来て説明をしてくれて好感触。

いろいろ面白かったのだけど、特に気に入ったものを書いときます。ちなみに明日までやってるみたいなんで「明日はギロッポンでシーメー」的な人は寄ると良いと思います。東京タワーも綺麗だったよ。

以下、引用はパンフレットからであります。

積み絵(大田祥子)

「積み絵」は、絵本を作るための玩具です。この玩具では、絵が描かれたシートを重ねるとスクリーン上でなんらかのアクションがおこります。そしてシートを何枚も重ねることで、物語を作ります。(以下、略)

モニタの上に、透明なシートを載せるんですね。そのシートには、星の模様とかがちらっと描いてあったりするんだけど、それを載せるとモニタ自体が夜になって星が綺麗、みたいな。複数のシートがあって、それぞれのシートを載せると違う絵になるし、複数のシートも重ねることができると。ちょっと進化したしかけ絵本みたいな感じですかな。流れる音もなかなかシンプルなんだけど効果的で良かった。エレピっぽい音だったような覚えが。

なんか、ファインアートよりはお金のにおいがするのも、ちょっとこの手のネタの面白いところですね(笑)。

ミノタウロスキューブ(ジェームス ギブソン/コレクトアプライ)

幾何学模様がレーザーで刻まれた16個1セットの木製のキューブで、模様や形を作って、楽しんだり探求したりすることができます。(以下、略)

これはちょっと言葉で説明するの無理なので是非モノを見てきてください。小さな木のキューブに、ものすごく細密で深い彫り、つーか穴が複数空いてるのだと思う。全然センサーとかと関係ない気がするんでメディアアートじゃないと思うけど(つーかその部分は僕が趣旨を勘違いしてる気がする)、モノとして非常に上品で、普通にミュージアムショップとかで売ってあったら買う人いると思う。

シャドーラジコン(橋本佳奈子)

「シャドーラジコン」は影をラジコンのように操作して遊ぶことができる玩具です。
この玩具ではラジコンの中に住みついている人影の日常生活を中心にこっそり覗いたり干渉したりできます。ラジコンの操作方法は懐中電灯と同じようなものになっています。照らす場所や操作の違いによって人影の行動が変わり、ラジコンで遊べば遊ぶほど人影が済んでいる世界が見えてきて楽しむことができます。影という普段動かすことが難しいものを自由に動かして遊ぶことができる・・・そんな不思議な感覚を体験することで発送を得るきっかけになる玩具ができればと思い、制作しています。

ちょっと文章がつたない気もするけど、そういうのに僕は萌えるので大丈夫です(なにが?)。

で、たぶんこの説明でわかる人はいないと思うんだけど、懐中電灯のようなものを、壁に向けるのね。そうすると、光が照らされるんだけど、その中に人影がいるんですわ。懐中電灯を上下に動かしたりすると、その人影が空を飛んだり、ロープで下に降りたり、いろいろ動きをすると。アイデアが良いというよりは、その手触りと影の絵の質感みたいなのが良かったです。ほっこりする感じというか。子供とか喜びそう。つーか、これ、そういえば玩具の展示会なのかな(いまごろ気がついている)。そうか、そういうことか。

ちなみにこの懐中電灯から照らされる絵、僕が見たときはPCのデスクトップの画面で、装置の横で製作者の人がごそごそやってたんだけど、僕が来たのに気付いてすぐに相手してくれた。で、途中で僕がPCの画面を見たことを言ったら、「夢を壊してすみません」と言っていた。夢は壊れませんでしたが、35歳にもなってそういうこと言われるのはすごい素敵な体験だと思いました(笑)。

これ書きながらパンフを見てたら、この人はもうひとつ出品してたみたい。残念ながらこちらは動かなかったのでよくわからなかったんだけど、説明だけ見ると「人と人との出会いや別れなどの対応関係を変化させ、間にある境界や距離感を体験するための遊具デバイス」だったようで、なんかロマンチックな感じ。そういう感性でかつこういうデバイス使えてモノを作れるって、多方向に才能あって楽しいね。

ubiquitous MIZUNO(水野渚)と変態用ボタン(水野渚)

どっちもすごい下らないネタで笑った。

前者は、どこにいても水野さん(作った人)がどこにいるか、どこで寝ているかわかるというシステム。いらん(笑)。

後者は、

視覚化されにくい感想や意見を集約する方法として、ユーザの行動を取得する無線小型ボタンデバイスです。このシステムを使い、ユーザが自分自身を変態であると感じたときにボタンを押す実験をしました。他にも変態が居ることで安堵する、また居なければ自制するといった、作者本人の変態性を検証することを考えました。1つのボタンでも「連打する」「長く押す」などの押され方がわかり、それをどのように解釈するかで見方が変わります。

というシステム。モノとしてはたぶん、携帯アプリとGPSを組み合わせた方が良いと思うんだけど、そんなことより、ある程度大事であろう六本木での展示会にこういう下らないモノをぶつけてくる勇気と頭の悪さを買いたい。

以前五美大展つーものを観に行ったときに感動した、福島美保さんのpinという作品に通じるものがあります。自分的には。こういう才能は、アタリかハズレかの幅は広かったりするんだけど、でも、大事にしたいですよほんと。こういう人を食わせられるかどうかが文化だと思う。

なんつって、適当なことを書いてみましたが、そういう意味付けはどうでも良いと思ってて、単純に、才能のある人が下らないことをやってるのを見るのが好きなのです、僕は。

ジャミングギア(菅野創、西郷憲一郎)

今回一番のお気に入りはこれ。歯車の中にセンサーが入ってて、歯車が回転するとその回転に合わせて音楽が鳴ると。で、複数の歯車を組み合わせることで、ドラムの上にコードを鳴らしたり、ポリリズムが生まれたり、ということが可能。歯車なので見た目がかわいいし、うまく音を視覚化してるなと。ちょっとまだプロトタイプっぽいんだけど、うまく洗練させて、KORGとかで商品化して欲しいです。

ちなみに、僕が見てるときは、96歯と95歯の歯車を組み合わせて、ライヒのPiano Phaseをやってくれました。笑った。素晴らしい。

そんな感じですかね。

ちなみにこの展示会を観に行ったあと飲み会に行ったんだけど、そこにいた人、この展示会で使われてるセンサーを作ってる会社の人だったみたい。縁ですね。