萩萩日記

世界に5人くらい存在するかもしれない僕のファンとドッペルゲンガーに送る日記

最近読んだ本(宗教関係編)

村井幸三/お坊さんが困る仏教の話 (新潮新書)

ポックリ地蔵てのがあるのね。「ポックリ死ねますように」ってお年寄が多数つめかける。複雑な気持ちにはなりつつ、でも、まあ、わかるよね。

「DNAの話はなんだか」って自分のメモにあるんだけど、どんな感想だったか覚えてない。

富永仲基はやっぱりすごいと思った。加上説ってやつ。

葬式は禅宗が最初だって話に「へえ」と思ったり、寺の採算分岐点の話で「なるほど」と思ったり。

井上順孝、他/IT時代の宗教を考える

このITの時代に宗教のあり方は、みたいな本かと思ったら、宗教関係者向けの本だった。宗教関係者として、このITの時代に、ITをどう活かしていくか、みたいな感じ。まあそれもある意味、「このITの時代に宗教のあり方は」ではある。「ホームページは"顔"である」とか、そういう話。それはそれで面白い。どういう危機意識を持っているか的なことで。占いサイトには行くけれど宗教ページには行かない、とか、確かに危機意識持つよね。

しかし、やっぱり、ちょっとゆるい。たとえば、ニューエイジという言葉と宗教という言葉を、それぞれGoogleで検索して、宗教の方が断然多いから、ニューエイジはあまりはやっていないようだと結論したり。

いろんな人がちょっとづつ書いてるので、議論が浅い感じ。

阿満利麿/仏教と日本人 (ちくま新書)

日本人がつくった仏教とはどのようなものであったのか、と。「普通の仏教」についての本ですね。学者が研究する仏教じゃなくて、みんなの身の回りにある仏教。

最初、日本に仏教が伝来したとき、僧侶が来なかった。ので、僧侶のことを、巫女みたいなものだと勘違いしたりしてたみたい。

水子地蔵が新しいものだとは知らなかったよ。

何かと批判される葬式仏教だけど、でも恩恵もあるよねという話は面白かった。

利倉隆/ユダ イエスを裏切った男 (平凡社新書)

ユダの裏切りにまつわるあれこれ。まずは図象学的な話。いろいろな「最後の晩餐」が見れて楽しい。

あとは、わりと丁寧に福音書を引きながらの、いろいろな解釈。

最後は、たぶん著者独自の解釈。

図象学的なところとそのほかが、多少分裂しているけれど、まあ、面白かった。

高橋英利/オウムからの帰還

なんだか著者の人がダメな感じ。いまだオウムの人を信頼してたり、オウムのとき作った占いに「これが結構当たる」とか言ってみたり。うーん、って感じ。

林郁夫/オウムと私

サリン実行犯の手記。

表紙(麻原彰晃の写真がどんと載っている)とタイトルが悪い。電車で読んでると、なんか自分が信者みたいだ。

人は信じたいことを信じるんだなと。そして、いままでの自分を否定するのは、ものすごく難しいんだなと。

どうでも良いけど、心臓はガンにならないという話で「へえ」と思った。本当?

橋本治/宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

オウム真理教事件から始まって、宗教について考えた本。もちろん、話題はどんどん飛んで行くけど。10年くらい前の本なので、そのあたりはちょっと差っ引かないといかん。

いつも橋本治の本には「なるほど!」と「はあ?」を感じるのだけど、今回は余計にその度合いが高かった。好きなジャンルだからだろうかね。

ここまで両方を感じることってあまりないので、橋本治は、もっといろいろ読むと良いのかもしれない。

「なるほど」とか「そうだよね」系のことについて書くと、やはり人は過去を否定されるのは(もしくは否定するのは)かなり辛いということ。あと、宗教というのは基本的に古代人の思想であるわけで、そこから取捨選択する必要があるだろうということ、というあたり。憲法20条の信教の自由が、宗教儀式的な自由については書かれているけれど、信仰自体の自由については書かれていないという話は、ちと示唆的で面白かった。

あと、

冗談の分からない人にファンタジーを与えると、それをそのまま本気にして、いたって厄介なことになるのだが、“宗教という思想を人格化する行為”は、そういうものでもある。

というのとか、

キリスト教も仏教になる

とかも、なかなか。

死海文書系の本も、目を通してみようかと思った。グノーシスについては、とりあえず「薔薇の名前」を読まんとねと思う。と思ったが、「薔薇の名前」とグノーシス関係ない?ま、読んでみる。

しかし、この表紙↓は何?

宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

玄侑宗久/現代語訳 般若心経 (ちくま新書 (615))

般若心経の現代語訳というよりは、般若心経を元にした説教という感じ。いつもの、西洋哲学やら科学の知見を利用した説明は健在。こういう説明ってちょっと危い気もするが、まあ良いのかなあ。

で、中身は、何度か読まないといかんなあと思った。難しいというわけではないんだけど、やっぱり、そこそこ濃い話なんで。

良寛の筆による般若心経の写真があったのだけど、なんだかかわいい字だった。

そして、本文中のイラストが、とてもトボけてて良かった。川口澄子という人らしい。最高。絵心経も楽しめます。